観察・注釈・言葉の設計
何を見つけ、何と比べ、どう名づけるか。地図と色の選択を、観察と編集の作法へつなぎます。
適用範囲
共通の観察原則と、編集図版の作法を扱います。「黒=観測・青=解釈」「凡例を置かない」「1枚1色相(分類は例外)」はG1編集カードの規定です。地理Sceneの凡例・題材色・CrosspointにはEarth LanguageとS-01〜12を適用します。
描く技術ではなく、写す技術
データビジュアライゼーションは長く「描く」技術として語られてきた。チャートを描く、図を描く。 しかしリサーチで共感の対象になった四つ ── Migliozzi、F1 のアプリ、Anadol、NASA SVS ── に共通していたのは、 描かれているものがデータ以外にないことだった。つまり彼らは描いていない。写している。
この態度を三つの工程に分ける。そこにあるものを見えるようにする(光を当てる)、 一つを選んで言葉を与える(焦点を結ぶ)、媒体に定着させる(写し取る)。 本質は写真と同じだが、この台帳で写真の語を使うのはこの三つの名だけにする。 作り手が対象を作らないこと、写し取るが判じないこと ── 引き受けるのはその構造である。
四つの共感 — 共通項が一つ、差異が一つずつ
共通項は、描かれているものがデータ以外にないこと。差異は、データの上に何を一つだけ足したか。
| 共感 | 足したもの | 何をしているか | 台帳への写り |
|---|---|---|---|
| Blacki Migliozzi Bloomberg / The New York Times | 言葉 | 記録更新年だけに色を置き、他年は細い灰。基準線の名前、線末の日付と値、Methodology。注釈が図の本体だから、他が要らない | X-07 焦点は一つ/T-02〜T-05/線の階層(LW) |
| F1 App — Live Timing | 階層 | 毎秒 110 万件のデータを持ちながら、画面に出るのは順位・ギャップ・タイヤという一列だけ。残りは後ろにある ── 持っていて、出さない | X-07 の「退避」/F-02 凡例を置かない/landing と Source の層 |
| Refik Anadol Studio Unsupervised, MoMA | 物質 | MoMA のロビーの壁という媒体に像を定着させる。同じデータでも媒体が変われば像が変わることを、建築のスケールで示す。取るのは方法ではなく、この事実だけ | X-10 写し取る媒体/判型 G1・G2・M1・P |
| NASA Scientific Visualization Studio | 何もない | 観測値とシミュレーション出力をそのまま像にする。疑似カラーの作法(波長の順序を保ち、注記で明示する)以外は、科学者の出力に手を入れない | X-06 データに対応しない要素を置かない/F-04 色の系統/X-02 前提の検算 |
立ち位置 — 座標系のどの一点にも属さない
五つの領域はそれぞれ別の評価軸と資金を持ち、四つの出力形式は別の物理的制約を持つ。SORAH はそのどこにも属さない。各領域から一つずつ借り、一つずつ借りない。 一文で言えば ── 学術の根拠で、報道の作法を守り、アートの物質性を持つ、観察のメディア。
| 借りるもの | 誰から | 借りないもの |
|---|---|---|
| 作法(基準を先に言う・除外を書く) | 報道(Migliozzi / Rojanasakul / 荻原) | 速報性・結論を言い切る見出し |
| 知覚の根拠(位置>長さ>面積、object constancy、viridis) | 学術(Cleveland & McGill / Heer / Moreland) | 査読のための網羅性 |
| 物質性(媒体が像を決める) | アート(Anadol / 池田) | ML の幻覚・建築スケール・没入 |
| 階層(一つに絞る) | エンターテインメント(F1 アプリ) | スポンサー表示・予測の演出 |
| 記法(反復生成に耐える) | 産業(IBCS / Carbon) | ダッシュボードの網羅・KPI タイル |
三つの工程 — 光を当てる、焦点を結ぶ、写し取る
順序がある。光が当たらなければ焦点は結べず、焦点が結ばなければ写し取れない。それぞれ主体が違う ──
見えるものはデータが、焦点は作り手が、質感は媒体が決める。従属・決定・委任。中庸とはこの三つの配分そのものである。
台帳の 43 条はどれもこの三つの工程のいずれかに属し(Rule.step)、02〜04 章はその工程ごとに条を置く。

norm.RULES から描いた ── 全 43 条、機械 28。| 工程 | 主体 | 作り手の関係 | 答える問い | 中身 | 条 |
|---|---|---|---|---|---|
| 光を当てる Illuminate | データ | 従属 | 何が見えているか | そこにあるものを見えるようにするだけで、何も足さない。データでないものは照らしても現れない | 12(機械 8/人 4) |
| 焦点を結ぶ Focus | 作り手 | 決定 | 何を名指すか | 一つの発見を選び、それに言葉を与える。名前は一つのものにしか付かない。焦点は観察であって結論ではない | 13(機械 10/人 3) |
| 写し取る Capture | 媒体 | 委任 | どう定着するか | 質感・尺・判型は媒体が持つ。画面は画面、動画は動画、紙は紙の像を持ち、別のものに擬態させない | 16(機械 10/人 6) |
| 三つを貫く Across | — | — | 三つが一つの発見に従属しているか | 一つの発見が三つの工程を通る。検査に落ちた出力は生成されない | 2(機械 0/人 2) |
焦点を結ぶ — 名づけて、決めない
三つの工程のうち、作り手が決めるのはここだけ。だからここに SORAH の仕事の核と、SORAH が越えない線の両方がある。 焦点は一点にしか合わない。一つの発見を選び、それに言葉を与える。「言葉を足す」と「一つだけ前に出す」は同じ行為の二つの面で、 名前は一つのものにしか付かない。選ばれなかったものは後ろに退くが、消えない ── Source と注記の層に退避させる。削ぐことと隠すことは違う。

焦点と wonder は対立しない。焦点が見出しを一つに決めるから、図と landing は開いたままでいられる。 台帳の T-01(観察のレジスター)と T-03(見出しは結論の数字を持たない)がすでにこの線を引いていて、v2.0 では X-07(焦点は一つ)を機械の検査にした ── 太字と色を持つ名指しが 1 枚に 1 つでなければ、画像は書かれない。
規範は 1 箇所にしか書かない。この台帳の条項は engine/norm.py の RULES にあり、
検査(spec.py / motion.py)も、いま読んでいるこの文書も、同じ RULES を読んで作られている。
条ごとに機械が見るのか人が見るのかを明記したのが 05 章の契約表。
光を当てる — そこにあるものを見えるようにする
そこにあるものを見えるようにするだけで、何も足さない。データでないものは照らしても現れない ── イラスト層・装飾・比喩の形は置かない。「装飾を排したタイポグラフィ主導」はこの帰結であって出発点ではない。 光を当てるのは作り手が選ぶことではなく、データを見える状態に置くこと。何を前に出すかを選ぶのは、次の焦点の仕事。 主体はデータ。作り手はデータに従属する。
以下の 12 条がこの工程の条。作画の面積・凡例の有無・色の系統・ゼロ起点・明度差・密度は発行のたびに機械が見る。
「データに対応しない要素を置かない」(X-06)と「罫の最小限」(F-09)と「地図の必然性」(F-10)は人が見る。
発見の前提(X-02)は各型の demo() が毎回データから検算し、崩れていればその日は出さない。
| 条 | 規範・根拠 | 判定 |
|---|---|---|
| X-02 | 発見の前提は、発行のたびに検算する 「一度も下がっていない」「最後の3年」「増えた年は1年」── 見出しが立っている前提は、毎回データから確かめ、崩れていたら発行しない。前提が崩れた図は、きれいなまま嘘になる。 各型の demo() が ValueError を投げる | 自動 |
| X-06 | 光を当てる ── データに対応しない要素を置かない そこにあるものを見えるようにするだけで、何も足さない。装飾・比喩の形・イラスト層・写真の地は、データでないので照らしても現れない。「装飾を排したタイポグラフィ主導」はこの帰結であって出発点ではない。F-07(1枚1色相)・F-09(罫の最小限)の上位原則。 方向性 v2.1 §3 光を当てる(NASA SVS「何も足さない」) | 人が確認 |
| F-01 | 作画が紙面を支配する 作画は紙面の 55% 以上(G1 は 56.6%=936×764px)。作画が小さいのは、何を見せるか決められていないことの現れ。 商品は版面いっぱいに図がある | 自動 |
| F-02 | 凡例を置かない 置ける場所があるなら図の上に直接書く。凡例は色と意味を目で往復させる。代わりに、線の端・面の中・点の横に名前を置き、それでも足りなければ**縮小図の列か数字の格子**を敷く(AQUA FLUXUS / GLACIES LIQUOR #1)。 v5.1 07「凡例より直接ラベル」+商品の構造 | 自動 |
| F-04 | 量は順序・発散、種類は分類色で表す 量の大小は順序色、基準との差は発散色で表す。順序のない種類には分類色を認める。fill_kind=categoryを宣言し、分類名を直接併記する。色だけで種類を伝えない。虹(jet / rainbow / turbo)は順序が知覚と一致しないので使わない。 2026-09-20 対話で分類色を採用 / v5.1 07 | 自動 |
| F-05 | 長さ・面積で量を表す型はゼロ起点 棒・縞・面・柱はゼロ起点。線・点・地図は任意だが、波線省略はしない。主エンコーディングを宣言してから描く(marks=)。 v5.1 07「比較を歪めない」 | 自動 |
| F-06 | グレースケールで生きる データに使う色は、明度だけで区別がつくこと(明度差 24 以上)。赤緑の識別に依存しない。VI Blue #00BFFF はブランド専用でデータに使わない。 v5.1 07「グレースケールで生きる」 | 自動 |
| F-08 | 1つの要素は1px 以上を占める 系列の点が版面の幅に対して 1px 未満になるまで詰め込まない。元データより細かい解像度に集計しない。読めない密度は密度ではなく汚れ。 v5.1 07 六角格子の条項 | 自動 |
| F-09 | 軸・罫・格子は最小限。消して読めるなら消す 残す罫は #F0F0F0 まで薄く、目盛は2〜4本、単位は最上段だけ。商品には軸も目盛も格子罫も無い。 v5.1 07 Do +商品「していないこと」 | 人が確認 |
| F-10 | 地図である必然性がある 位置そのものが発見であるときだけ地図にする。量が発見なら地図ではなく量の型へ。面積で量を表すなら正積図法を使う。 v5.1 07 地図を使ってよい条件 | 人が確認 |
| F-11 | 区画を塗るなら、率・種類・回数のどれかを宣言する 区画の塗りが運べるものは三つ。**率**(分母がその区画に属する割合・密度)、**種類**(順序を持たない区分)、**回数**(数え上げ)。**絶対量は選べない** ── 読者は塗られた面積を量として読むので、分母を持たない量で塗ると、広い区画が濃く見えるだけの図になる。回数で塗れるのは区画の大きさが揃っているとき(固定格子)だけで、国や県のように大きさの違う区画では、回数は率に直す。種類のときだけ色相を区分の数だけ使ってよく(上限4)、その色は順序を持たない ── だから凡例ではなく、区分の名前を図の中で直接名指す。表は norm.FILL_KINDS。 v2.1 の「率でしか塗らない」を三つに分けた(2026-09-06)。禁じるべきだったのは率以外ではなく、分母を持たない量 | 自動 |
| T-05 | 出典に観測日がある データ名・基準期間・観測日・暫定の別・ライセンスを2行以内に。「今日」「最新」と書くなら、その日付がどこかに必ずある。 v5.1 07「不確かさを描く」 | 自動 |
照らし方の作法 — 商品から
参照は外にだけあるのではない。SORAH が実際に刷って売っている4枚(CLIMATE STRIPES / AQUA FLUXUS / GLACIES LIQUOR #1 / SYLVANIA CONTINUUM)が していることは、そのまま「光を当てる」の作法だった ── 紙が見える(地を塗り潰さない)、図版は版面いっぱい、凡例は縮小図か数字の格子、 軸を引かない・目盛を打たない・格子罫を敷かない・色を3色以上使わない・同じ情報を2度書かない。台帳の図版が「機械的」に見えていた原因はほぼこの裏返しだった(doc H)。
色 — 紙の色とデータの色
紙の色は型・罫・地にだけ使い、データには使わない。データの色は1 図 1 系統+強調 1 色、合わせて 3 色まで。有彩色は焦点にだけ置く ── 今年か、記録か、名指した一つ(Rojanasakul / Migliozzi)。色を置く相手を選ぶのは焦点の仕事(03)で、ここは置ける色の系統だけを決める。
| 定数 | 値 | 役割 |
|---|---|---|
| INK / PAPER | #1A1A1A / #FFFFFF | 文字・主線・基準線/地。夜版(P・動画)では反転 |
| GRAY_MID / GRAY_LIGHT / RULE | #8A8A8A / #B5B5B5 / #D8D8D8 | 目盛の値・薄い名前/ゼロ線/罫 |
| PAST | #D2D2D2 | 過去年の束・年々の値(1.0px、名前を付けない) |
| AVG | #808080 | 平均・気候値の点線(2,3)。#555 は ACCENT との明度差 10 で検査に落ちた |
| GRID | #EBEBEB | 横罫 1px。目盛は 3〜4 本、単位は最上段だけ |
| ACCENT | #006BFF(Graphic 01) | 今年・強調・線末ラベル・寸法線。1 図に 1 点 |
| WARM / COLD | #B2182B / #2166AC | 偏差の面の上下(RdBu の両端、明度を揃える) |
| EDGE_REF | #E8721C | 氷縁の基準線(NSIDC・極地研の慣例) |
| NEGATIVE | #DA003C(Accent) | 負の変化・警告のみ。閾値線(「2015 limit」型)にも使える |
| VI Blue | #00BFFF | データに使わない(ロゴ専用)。palette() が拒否 |
| 系統 | 使う発見 | 規定 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 順序 Sequential | 量・密度・深さ | 明度が単調に変わる知覚均等スケール。白→INK、白→#05396B、または cmocean(thermal / ice / deep)・Crameri(batlow)・viridis。色相を増やさない。P 判型では 5 段に量子化して平塗り(夕日の段階色) | Thyng 2016、Crameri 2020、NASA EO、SORAH ART ボード |
| 発散 Diverging | 基準からの偏差 | 白または薄灰を中央に。両側は対称に暗くなる(RdBu、cmocean balance)。青/紫、緑/赤の組は避ける | IPCC AR6 colour guide、Wilke |
| 濃淡 1 系統 | 同じ量の段階(濃縮度 2 / 5 / 20 / 60%) | 1 色相の 3〜4 段。段の名前は右端に直接(NYT Uranium) | NYT Migliozzi |
| 分類 Categorical | 順序のない種類 | 種類ごとの色分けを認める。分類名を直接併記し、色だけに依存しない。G1は上限4区分。量の大小は順序色、基準との差は発散色を使う | 2026-09-20 対話による採用。F-04 / F-07 / F-11。作例の色値は共通カテゴリパレットの指定ではない |
| 意味色 | 慣例で読者が知っている色 | 暖=赤、冷=青、植生=緑、水=青、氷縁の基準線=オレンジ、欠測=灰、No Data=#EBEBEB。素材の色(原油=黒、氷=白)はこれに含める | NSIDC、GFW、NYT Hormuz |
黒=観測、青=解釈
1枚の中で色が担う役割を先に決める。INK は測られたもの(観測値・平滑・氷・震源)、ACCENT は人が足したもの(傾向線・回帰・寸法線・今年の強調・線末の値)。読者は色の名前を覚えなくても、青いものは「誰かの解釈」だと分かる。PAST は文脈(過去年の束・年々の値)で、名前を持たない。分類データでは、種類ごとの色と直接ラベルをこの規定の例外として使える。
段階と検証
隣接色は最大 10–11 段階(IPCC)。縞は 16 色(Hawkins)。誤差 ±0.5°C のデータに 0.1°C 刻みの色を当てない。公開前にグレースケール変換で読めること、色覚シミュレーション(Color Oracle・Coblis)で崩れないことを確認する。spec.py の check_palette は輝度差 24 未満の組を拒否する。本文の数量は図の色で組む(03 焦点を結ぶ)ので、本文に現れる色も palette() に含める。
使わない
虹(jet / rainbow / turbo / hsv)— 順序が知覚と一致せず、偽の縞を作る。赤緑だけで正負を分ける。半透明の重ね塗り(色の混合が新しい意味を持ってしまう)。4 色以上の平塗り(P 判型の 5 段量子化を除く)。
不確かさ・観測日・欠測 — 見えないものを書く
| 状況 | 描き方 | 書き方(実例) | 出典 |
|---|---|---|---|
| 推定の幅 | 帯(四分位/十分位/±2σ/5–95%/95% 信頼区間)。輪郭なし。幅が発見なら寸法線 | 図題の 2 行目に定義(「1961–1990年平均との差、95%信頼区間」)。本文は「+1.05°C [1.01–1.09]」 | HadCRUT5、Berkeley Earth、IPCC SPM.8、Wilke 16章 |
| 暫定値 | 線は最新点で止め、● を置く。延ばさない | 出典に「速報値含む」「直近1年は暫定」「今年は7月まで」。記録年は年が終わるまで「記録年」と呼ばない | NSIDC、NOAA GML、NYT「data … are preliminary」 |
| 欠測 | 描かない。線を切る。補間しない | 欠測色(灰)を凡例ではなく注記で。気象庁の品質記号( ) ] )は落として使う | 気象庁、NASA EO |
| 観測日・基準期間 | — | 出典に取得日・データ版・基準期間(「1951–1980年平均との差、1950–2026年(今年は7月まで・2026年9月取得)」)。「今日の」と書くなら観測日必須 | NASA EO、JAXA |
| 観測網の変化 | 帯の幅で見せる。隠さない | 「観測が減った1942年に幅0.42°Cまで広がり」 | HadCRUT5 |
| 低確率・高影響 | 破線。帯と混ぜない | 「排除できない経路」 | IPCC SPM.8 |
| 手法の不一致 | ハッチング、または 0 | 「モデル間で一致しない」 | IPCC SPM.3、Climate Central CSI |
| 観測点の移転・方法変更 | 三角印、断絶を線で切る。都市化の影響は出典に | 「都市化の影響が小さい15地点」「都市化の分を含む」 | 気象庁、GFW |
地図 — 地図である必然性
地図にするのは、どこで起きたかが発見の中身であるときだけ。量の比較は地図に向かない(面積が値を歪める)。海氷は「線の内側に縮んだ」と書く前に海ごとに数える — 2026.08.29 vs 2010.09.01 では東シベリア海で −16万km²、チュクチ海では +8万km² で、合計だけ見ると戻った海が消える。面積の合計は線グラフの側で言い、地図では海ごとの差だけを言う。
| 用途 | 投影 | 規定 |
|---|---|---|
| 全球のアノマリー | Robinson | NASA SVS の標準。発散色・白中央・基準期間を図題に |
| 極域 | 極ステレオ(70° 真緯度、EPSG:3411/3413) | 歪みを注記(「北極を上から見た図」)。面積比較には使わない。全球には使わない |
| 面積の比較 | 等積図法、または等面積カートグラム | IPCC は六角形カートグラムで面積バイアス自体を回避 |
| 率の分布 | コロプレス(率) | 率のみ。絶対量は不可(FT・Sunlight)。5 階級以下。No Data 色を定義 |
| 区分の分布 | 区画の種類 | 順序の無い区分だけ。4 区分まで・区分ごとに別の色相・凡例を置かず区画の上に名前 |
| 回数の分布 | 格子(回数) | マスの大きさが揃っているときだけ。国や県では回数を率に直す |
| 総数の分布 | 比例シンボル | 面積比例。細差は読めない |
| 密度 | ドット密度・六角格子 | 元データより細かく集計しない。見せたいパターンを注釈 |
| 位置と量の関係 | 断面(地図を捨てる) | 位置の一軸と量の一軸で切る。傾きは読者の単位で(「西へ1°ごとに約17km深い」)+相関 |
ベースマップは無彩色(Stamen Toner の思想)。海岸線は描かず、データの陸海マスクで見せる。氷縁の基準線はオレンジ(NSIDC・極地研の慣例)、今日の縁は INK 1px。海の名前は地図の上に薄く置き、開いた海・戻った海だけ太字で面積を添える。行政単位に吸着させない。SORAH の Maps ボードが集めているのは等高線・流線・稜線・海底地形 — 線の密度で量を見せる地図で、面塗りの地図ではない。
区画の塗り — 率・種類・回数(絶対量は入っていない)
v2.1 の台帳はここに「率でしか塗らない」と一行だけ書いていた。理屈は正しいが効きすぎていて、
開票マップ(いちばん票を取った政党=種類)も被災履歴マップ(被災した回数)も作れなかった。
禁じるべきだったのは率以外ではなく、分母を持たない量である。だから三つに分けた ──
区画を塗る図は、塗る前に色が何を運ぶかを宣言する(F-11、Card.fill_kind)。宣言の無い塗りは発行されない。
| 塗りが運ぶもの | 宣言 | 条件 | 持っている型 |
|---|---|---|---|
| 率 Rate | rate | 分母がその区画に属する割合・密度。面積あたり・人口あたり・全体に占める割合。区画の形は問わない | コロプレス(率)・区画の偏差 |
| 種類 Category | category | 順序を持たない区分。色は量ではなく区分の名前なので、区分ごとに色相を分ける。上限4区分 | 区画の種類 |
| 回数 Count | count | 数え上げ。分母を持たないので、区画の大きさが揃っているときだけ(固定格子)。国や県では回数を率に直す | 格子(回数) |
| 絶対量 | — | 選べない。分母を持たない量で区画を塗ると、読者は塗られた面積を量として読む | 比例シンボル地図(円の面積)へ |
回数の条件が要る理由。大きさの違う区画(国・県)を回数で塗ると、広い区画ほど数が多くなり、 読者は塗られた面積を量として読む ── それは絶対量で塗るのと同じ嘘になる。だから回数で塗れるのは、 マスの大きさが揃っている固定格子のときだけで、国や県では回数を面積あたり・人口あたりの率に直す。 種類だけが色相を分けてよい理由。種類の色は量ではなく区分の名前なので、濃淡で並べると 「濃いほうが多い」と読まれてしまう。だから 1 枚 1 色相(F-07)の唯一の例外として、区分ごとに色相を分ける ── ただし 4 区分まで、そして刷ったときと色が見えない読者のために明度も 24 以上ずつ離す。
焦点を結ぶ — 一つを選び、言葉を与える
焦点は一点にしか合わない。一つの発見を選び、それに言葉を与える。見出しは見えているものの名指し、landing は読み方の受け渡し、 出典は作り方の開示。三つを混ぜない。図の側でも同じことが起きる ── 有彩色と太字は焦点にだけ置き、残りは無彩色の濃淡と地の重さで退く。 主体は作り手。作り手が決定する。そして決めてよいのはここだけ。
以下の 13 条がこの工程の条。v2.0 で足したのは X-07(焦点は一つ ── 太字の名指しは 1 枚にちょうど 1 つ、機械)、 X-08(焦点は観察 ── 名づけて、決めない、人)、X-09(基準の所在 ── 宣言した基準が図題か注記に無ければ書かない、機械)。 色相の数と分類の例外(F-07)、注釈の有無(F-03)は図の条だが、意味はここに属する ── 色と注釈は焦点の道具だから。
| 条 | 規範・根拠 | 判定 |
|---|---|---|
| X-07 | 焦点は一つ ── 前に出る発見は1枚に1つ 名前は一つのものにしか付かない。**太字と色を持つ名指し(線末の札・山の名前・寸法線の値)は1枚にちょうど1つ**。二つ目を前に出したくなったら、それは二枚目の図。選ばれなかったものは消さずに後ろへ退く ── 地の重さの注記と Source の層に退避する。削ぐことと隠すことは違う。 方向性 v2.1 §3 焦点を結ぶ(Migliozzi「記録年だけに色」) | 自動 |
| X-08 | 焦点は観察 ── 名づけて、決めない 見出しと landing は観察の文で、評価語・因果の断定・「だから」を含まない。「夏の四つの最高記録は直近の四年」は焦点、「だから危険だ」は結論。SORAH は前者で止まる。結論を出さないことで、図と landing は開いたままでいられる。T-01 の上位原則。 方向性 v2.1 §3 但し書き | 人が確認 |
| X-09 | 基準の所在 ── 立場は基準の選び方にだけ現れる 平年・基準期間・閾値・除外条件を先に決め、**図題か図中の注記に必ず書く**。型は何を基準にしたかを宣言し(Card.basis)、宣言した語が図題か注記に無ければ発行しない。今年だけに色を使い、暫定データの範囲を切り、除外条件(「M4.0以上」「全地被」「都市化の分を含む」)を書く。 方向性 v2.1 §5 中庸(Rojanasakul “not included”/Goodsell「水分子は描かない」) | 自動 |
| F-03 | 図の中に注釈が1つ以上ある 注釈は説明文ではなく図の一部。パターンか解釈を名指す。「ここにデータがあります」は注釈ではない。 v5.1 07「注釈が図の主役」 | 自動 |
| F-07 | 1枚1色相を基本に、分類は種類で色を分ける 有彩色は1枚に1系統(発散だけ2色相)。色は今年か記録か、焦点の合った一つにだけ置き、残りは無彩色の濃淡で退く。分類データは例外として種類ごとに色相を分け、名前を併記する。G1の分類は上限4区分。5区分以上は図を分ける。商品は4点中3点が特色1〜2版で刷られている。 商品の実仕様(doc H §2-1)+ Migliozzi | 自動 |
| T-01 | 観察のレジスターに立つ 見出しは図に見えているパターンを名指す。規範・断定・扇動をしない。「〜すべきだ」「危機」「衝撃」は観察ではない。**語彙は T-06 が機械で見る(売り言葉と価値判断の表)。レジスターそのものは人が見る** ── 表に無い語でも、良し悪しを先に決めてから図を選んでいれば、それはもう観察ではない。 SEE 編集原則 + v5.1 08 | 人が確認 |
| T-02 | 見出しは文ではなく名指し 常体。句点で終えない。問いかけにしない。和文は全角17字以内、欧文は 68 字以内(46pt で3行)。1行の切れ目は改行文字で指定する。 v5.1 08 見出しの作法 | 自動 |
| T-03 | 結論の数字と術語は見出しに置かない 測った量(+1.73°C・429.1ppm・16万km²)と術語(偏差・パーセンタイル・extent)は本文に潜ませる。見出しが運ぶのは数の**向き**か、例外の**無さ**。 v5.1 08 | 自動 |
| T-04 | landing は読み方を渡す。凡例の説明にしない 「色は…を表す」「縦軸は…」は凡例であって読み方ではない。何を1本が表すか、どこを見るか、何と比べたかを渡す。「〜は含まない」を書いてよい。和文54字・欧文100字以内。 v5.1 08 | 自動 |
| T-06 | 使わない語がある 二群ある。**売り言葉**(革新的・イノベーション・ソリューション・シームレス/innovative・revolutionary・seamless・unprecedented・alarming)と、**価値判断・規範**(優しい・こわい・ひどい・深刻・正しい・愚か・危険・脅威・過激・〜すべきだ/gentle・scary・devastating・dangerous・wrong・foolish・should)。図に現れているのは量であって善悪ではない。良し悪しは読者が決める ── 作り手が先に決めてしまうと、図は根拠ではなく飾りになる。絵文字も使わない。表は norm.BANNED と norm.JUDGEMENT。 v5.1 08「使わない語」+ T-01 の語彙側 | 自動 |
| T-07 | 同じものを2つの言葉で呼ばない 台帳の語彙(norm.LEXICON)に載っている言い換えを使う。「平年」は書かず基準期間を書く。「anomaly」は書かず difference from … と書く。 20枚目のカードが1枚目と違う語を使わないため | 自動 |
| T-08 | 本文の数量は、図でその量に使った色で組む landing の中の数字を図の色で太く組めば、凡例を置かずに本文が凡例になる。1文に2つまで。数字以外の語には使わない。 NYT の作法 + F-02 | 人が確認 |
| T-11 | 図の中の言葉も、同じ台帳で書く 図題・図中の注記・数字の札の文は、見出しや landing と同じ語の検査を通る(T-06 使わない語 + T-07 台帳の語彙)。四つのテキストスロットだけを見ていると、抜け道が開く ── 「優しい日本と、こわい日本」は見出しに置けば落ちるのに、塗り分けの図題に置けば通ってしまっていた。図の中は言葉の数が少ないぶん、一語が図全体の意味を決める。 実測(2026-09-06): 図中の注記はどの検査も通っていなかった | 自動 |
語の台帳
同じものを2つの言葉で呼ばない。20枚目のカードが1枚目と違う語を使い始めたら、それは台帳が無いということ。 その場で定義しているなら通す(「平年(1991–2020年)」は可、「平年」だけは不可)。
| 使わない語 | 置き換える | |
|---|---|---|
| 平年 | 1991–2020年平均(基準期間を書く) | JA |
| アノマリー | 平均との差 | JA |
| 偏差 | 平均との差(見出しでは使わない) | JA |
| エクステント | 面積 | JA |
| 温暖化 | 気温の上昇(測った量で書く) | JA |
| 危機 | (使わない。観察のレジスターから外れる) | JA |
| 衝撃 | (使わない) | JA |
| anomaly | difference from the … mean | EN |
| extent | area | EN |
| unprecedented | (do not use) | EN |
| alarming | (do not use) | EN |
| crisis | (do not use) | EN |
| skyrocket | (do not use) | EN |
使わない語 — 売り言葉と、価値判断
二群ある。売り言葉(革新的・シームレス・unprecedented)は最初から入っていた。 価値判断・規範(優しい・こわい・深刻・正しい・愚か・危険・〜すべきだ)は v2.4 で足した ── 日常語なので、長さの検査も文体の検査も素通りしていた。図に現れているのは量であって善悪ではない。 作り手が先に良し悪しを決めてしまうと、図は根拠ではなく飾りになる。 そして v2.4 から、この検査は図の中の言葉にもかかる(T-11)── 図題・注記・数字の札。 四つのテキストスロットだけを見ていたときは、「優しい日本と、こわい日本」を図題に置けば通っていた。
| 使わない語 | 群 | |
|---|---|---|
| 革新的 | 売り言葉 | JA |
| 革命的 | 売り言葉 | JA |
| イノベーション | 売り言葉 | JA |
| Creative Platform | 売り言葉 | JA |
| 世界をより良くする | 売り言葉 | JA |
| ソリューション | 売り言葉 | JA |
| シームレス | 売り言葉 | JA |
| 衝撃的 | 売り言葉 | JA |
| 危機的 | 売り言葉 | JA |
| innovative | 売り言葉 | EN |
| revolutionary | 売り言葉 | EN |
| game-chang | 売り言葉 | EN |
| cutting-edge | 売り言葉 | EN |
| world-class | 売り言葉 | EN |
| seamless | 売り言葉 | EN |
| solution | 売り言葉 | EN |
| make the world a better place | 売り言葉 | EN |
| unprecedented | 売り言葉 | EN |
| shocking | 売り言葉 | EN |
| alarming | 売り言葉 | EN |
| 優し | 価値判断・規範 | JA |
| やさし | 価値判断・規範 | JA |
| こわい | 価値判断・規範 | JA |
| 怖い | 価値判断・規範 | JA |
| 恐ろし | 価値判断・規範 | JA |
| 恐怖 | 価値判断・規範 | JA |
| ひどい | 価値判断・規範 | JA |
| 酷い | 価値判断・規範 | JA |
| 悲惨 | 価値判断・規範 | JA |
| 悲劇 | 価値判断・規範 | JA |
| 惨状 | 価値判断・規範 | JA |
| 深刻 | 価値判断・規範 | JA |
| 甚大 | 価値判断・規範 | JA |
| 壊滅 | 価値判断・規範 | JA |
| 破滅 | 価値判断・規範 | JA |
| 脅威 | 価値判断・規範 | JA |
| 正しい | 価値判断・規範 | JA |
| 間違 | 価値判断・規範 | JA |
| 誤った | 価値判断・規範 | JA |
| 愚か | 価値判断・規範 | JA |
| 賢い | 価値判断・規範 | JA |
| 賢明 | 価値判断・規範 | JA |
| まとも | 価値判断・規範 | JA |
| 良い | 価値判断・規範 | JA |
| 悪い | 価値判断・規範 | JA |
| 最悪 | 価値判断・規範 | JA |
| 最良 | 価値判断・規範 | JA |
| 素晴らし | 価値判断・規範 | JA |
| 見事 | 価値判断・規範 | JA |
| 危険 | 価値判断・規範 | JA |
| 安全 | 価値判断・規範 | JA |
| 過激 | 価値判断・規範 | JA |
| 残念 | 価値判断・規範 | JA |
| 憂慮 | 価値判断・規範 | JA |
| 懸念 | 価値判断・規範 | JA |
| 警告 | 価値判断・規範 | JA |
| べきだ | 価値判断・規範 | JA |
| べきである | 価値判断・規範 | JA |
| すべき | 価値判断・規範 | JA |
| ねばならない | 価値判断・規範 | JA |
| なければならない | 価値判断・規範 | JA |
| gentle | 価値判断・規範 | EN |
| scary | 価値判断・規範 | EN |
| frightening | 価値判断・規範 | EN |
| terrifying | 価値判断・規範 | EN |
| horrific | 価値判断・規範 | EN |
| horrifying | 価値判断・規範 | EN |
| appalling | 価値判断・規範 | EN |
| devastating | 価値判断・規範 | EN |
| catastrophic | 価値判断・規範 | EN |
| disastrous | 価値判断・規範 | EN |
| grim | 価値判断・規範 | EN |
| tragic | 価値判断・規範 | EN |
| threat | 価値判断・規範 | EN |
| threatening | 価値判断・規範 | EN |
| dangerous | 価値判断・規範 | EN |
| safe | 価値判断・規範 | EN |
| good | 価値判断・規範 | EN |
| bad | 価値判断・規範 | EN |
| evil | 価値判断・規範 | EN |
| wrong | 価値判断・規範 | EN |
| foolish | 価値判断・規範 | EN |
| stupid | 価値判断・規範 | EN |
| wise | 価値判断・規範 | EN |
| worrying | 価値判断・規範 | EN |
| worrisome | 価値判断・規範 | EN |
| troubling | 価値判断・規範 | EN |
| should | 価値判断・規範 | EN |
| must | 価値判断・規範 | EN |
| ought | 価値判断・規範 | EN |
注釈の六種 — 焦点と、その後ろに退く層
| 種類 | 役割 | 実例(台帳の図から) | 置き場 |
|---|---|---|---|
| 図題 | 測った量と基準期間 | 「月別の世界平均気温/1951–1980年平均との差」「東北沖の震源の断面/東経138–146°、M4.0以上、この1か月」 | form 枠の左上、太字 24pt・2 行。見出しはパターン、図題は量(Card.title) |
| 線末ラベル | 最新の日付と値を線と同じ色で | 「7月 +1.23°C」「2026年7月 +1.73°C」「2025年 +1.05°C」「7月 429.1」 | 線の末端の ● の横。届かなければ引き出し線で右上へ(Card.end_label) |
| 基準の明示 | 何と比べているか | 「1981–2010年の平均」「平均 1950–2025」「0 地表」 | 基準線の左端の上、平均は点線の上 |
| 山の名前・指差し | 出来事と発見の位置 | 「1997–98」「2015–16」「記録年 2024」「2023年から +1°C超」「M6.0 8月23日 深さ41km」 | 山の左肩、罫(INK 1.4px)の横。線に乗せない。重ねるときは紙色の縁取り(halo) |
| 寸法線・パネルの数字 | 幅や差そのものを測って見せる | 「1942年 幅0.42°C」「1860年 幅0.30°C」「11月 +3.4°C」 | 帯の幅に縦線+値、小さな多数は各パネルの右上に 1 つ |
| 数字の札 | 今日の数字と由来 | 「429.1 ppm — 大気中の CO₂ 濃度、2026年7月、マウナロア」 | form 枠の上 44%、Poppins Bold 132pt(Card.big_number) |
直接ラベル
凡例は置かない。線の端・面の中・点の横に名前を書く(Card.annotate)。目盛は薄灰の横罫と左端の値で足りる(Card.yticks)。目盛は 3〜4 本、単位は最上段の目盛にだけ(「+1.5°C」「50 km」「440ppm」— NYT / Bloomberg)。年は下端に 3〜5 つ、始点の年は左寄せ、終点は右寄せ。単位は数字より小さく、数字に密着。数字はタブラー。
線の階層(Rojanasakul / Migliozzi の寸法)
NYT Climate の Mira Rojanasakul、Bloomberg → NYT の Blacki Migliozzi の作品から取った作画の階層を、card.LW と色定数に固定した。今年・強調 3.0px ACCENT + 末端の ● + 同色の線末ラベル(1枚に1つ。これが焦点)/主線 2.4px INK/副線・傾向 1.6px/過去年の束 1.0px PAST(名前を付けない)/平均・気候値 AVG 点線(2,3)に「平均 1950–2025」を線上に置く/横罫 GRID 1px/ゼロ線 GRAY_LIGHT 1.4px。色は 1 図に 3 色まで。同じ図を並べるときは目盛・ラベル語彙を完全に共通化し、パネルごとに結論の数字を 1 つ置く。暫定データの期間と除外条件を出典に書く。詳細は doc F。
見出し・landing・出典
見出しは全角 17 字以内・常体・図に見えているパターンを名指す・結論の数字と術語を置かない(v5.1 08)。1 行は 12.5 字(54pt=75px/字)なので、2 行目の切れ目は改行文字で指定する(「7月の赤は、/77年で最も高い」)。見出しの前提(「一度も下がっていない」「最後の3年」)は demo() が毎回検算し、崩れれば発行しない。landing は読み方を渡す 2 行で、凡例の説明にしない。出典はデータ名・基準期間・観測日・暫定・ライセンス・sorah.io/earth を 2 行以内に(長いときは機関名を短くする)。すべて norm の検査を通る。
本文の数字を図の色で
landing の中の数量(「+1.73°C」「16万km²」「429.1ppm」)は、図でその量に使った色で太く組む(Card(marks={"+1.73°C": WARM}))。凡例を置かない代わりに本文が凡例になる(NYT「10 times the normal levels」の作法)。1 文に 2 つまで。数字以外の語には使わない。
三極の統合 — 態度ではなく、作法として
ニュートラル/中庸、Optimistic Humanism、Speculative Art。三つの極は、リサーチの結果、いずれも作法として書けることが分かった。 ムードではなく、条文と番組になる。三つとも焦点の工程に属する ── 何を基準にし、何に翻訳し、何を「もし」として延ばすかは、作り手の決定だから。
| 極 | 作法 | 台帳での現れ方 | 参照 |
|---|---|---|---|
| 中庸 Neutral | 基準を先に決め、書く。立場は基準の選び方にだけ現れる。平年・基準期間・閾値を先に決め、図題か注記に書く。今年だけに色を使い、暫定データの範囲を切り、除外条件を書く | X-09(機械)。型が Card.basis() で基準を宣言し、図題か注記に無ければ保存しない。deviation(基準が先)と compare(参照が先)はこの順序を動きとして持つ | Bloomberg 2015(基準 1880–1910 を固定し要因を重ねる)/Goodsell「水分子とイオンは描かない」/荻原和樹 2020 |
| Optimistic Humanism Humanism | 人間尺度への翻訳。実際に人の認知を動かした型は「自分ごと化」と「翻訳」だった。抽象量を似た場所・身体・一日に翻訳する。楽観は wonder 系番組の役割とし、気候番組で無理に作らない ── 良くなっているものも、同じ作法で数える | 発見カテゴリに翻訳(analog)を追加し、動きの語彙の 7 つ目 analog(量が先、翻訳が後)を足した。最初の型は「暦の翻訳」(07 章)。翻訳先は同じ観測列の中から取る | NYT 2018「How Much Hotter Is Your Hometown」/The Pudding「Climate Zones」 |
| Speculative Art Speculative | 「もし」のレジスター。SORAH は実データしか扱わないが、思弁は成立する。反実仮想の経路、予測の帯、閾値の同心円は実データから延ばした像。思弁は帯と経路の形しか取らない、という制約が SORAH らしさになる | STUDY の下に IF を立てた(08 章「もし1990年以降の傾きが続いたら」)。uncertainty(推定が先、幅が後)がそのまま動きになる。kicker は study / if | Ed Hawkins climate spiral(1.5℃・2.0℃ の同心円)/NYT の 2090 年までの予測の帯/池田亮司 data.tron |
物質性は Speculative の第二の面で、写し取る工程と同じことを指す。SORAH では印刷が担う ── 刷った日のポスターは固定された参照、日次の G1 は偏差。壁の紙と画面の今日が compare の関係にある。
データビジュアライゼーション
SORAH は図を二つの場所で使う ── 人が操作している画面の中と、単体で受け取られる発信物。同じ規範では作れない。まずどちらかを決め、そのうえで共通の法則に従う。
二つのレジスター
| プロダクトの図 | 発信のグラフィック | |
|---|---|---|
| 読まれ方 | 操作の途中で走査される | 単体で受け取られ、共有される |
| 地 | ライト=純白 / ダーク=#0C1428 | G1は白。P・動画の夜版は媒体規定に従う |
| 書体 | 数値 Poppins 800 tabular / 和文 Noto Sans JP | 欧文 Poppins / 和文 Noto Sans JP |
| 色 | #006BFF を強調1点。#DA003C は負の変化のみ | 紙の色(INK / GRAY)+データの色を1系統 |
| 数字 | 大きく太く、カードの最上段に | 見出しに置かない。本文に潜ませる |
| 正典 | 本ガイド | 本ガイド + SEE 編集原則 |
迷ったときの判定 ── その図を、人が操作している画面の中で見るのか、それ単体で受け取るのか。操作の中なら前者、単体なら後者。記事の中の図版は後者に従う。
共通の法則
| 法則 | 意味 | 落ちる例 |
|---|---|---|
| 1図1メッセージ | ひとつの図はひとつの発見だけを運ぶ。二つあるなら二枚に分ける | 指標を並置したダッシュボード |
| 色は階層、装飾ではない | 色は情報の重みを区別するためだけに使う。きれいだから塗る、はしない | 系列ごとに違う色を割り当てただけの折れ線 |
| 凡例より直接ラベル | 置ける場所があるなら図の上に直接書く。凡例は最後の手段 | 色と意味を目で往復させる凡例 |
| 基準のない数字は意味を持たない | 何と比べたのかを図の中に置く。平年、前年、他の地域、45年前 | 単独の「+1.23°C」 |
| 注釈が図の主役 | 言葉はパターンか解釈を名指す。「ここにデータがあります」とは言わない | 軸ラベルだけの図 |
| 比較を歪めない | 棒はゼロ起点。面積は面積で比べる。二重軸・切断軸・3Dは使わない | 差を誇張した切断軸 |
| 隠さない | 重要な内容をホバーやタップの裏に置かない。既定の状態で意味が通ること | ツールチップにしかない数値 |
| 不確かさを描く | 暫定値・欠測・観測日を、確定値と同じ顔で出さない | 観測日を書かない「今日の」 |
| グレースケールで生きる | 色を落としても読めること。赤緑の識別に依存しない | 赤と緑で正負を分けただけの図 |
図の型と用途
図の形式選びは T シャツ選びではない。型にはそれぞれ機能がある。
| 型 | 使う場面 | 注意 |
|---|---|---|
| 線 | 連続量の推移 | 同時に描くのは3本まで。4本を超えるなら面を分ける |
| 棒 | 離散した項目の比較 | ゼロ起点。項目は意味のある順に並べる(アルファベット順にしない) |
| 縞 | 1次元の長い時系列 | 1本=1期間を明示。端の年を必ず置く |
| 面 | 構成比の推移 | 合計が意味を持つときだけ。積み上げの順序を途中で変えない |
| 点 | 分布と外れ値 | 重なりは透明度ではなく間引きか六角格子で解く |
| 六角格子 | 密度 | 元データより細かい解像度に集計しない |
| 地図 | 位置そのものが発見であるとき | 下記 |
| 円グラフ | 使わない | 5分割以下でも棒が勝つ。例外は「ほぼ全部か、ほぼゼロか」を一目で示す場合のみ |
地図を使ってよい条件
- どこで起きたかが発見の中身であるとき
- 地理の形そのものが読者の知っている形と結びつくとき
- 分布の偏りが、面積ではなく位置で説明できるとき
- 「どこにでもある」ことしか示していない(=世界地図に点を撒いただけ)
- 実際に読ませたいのは順位や量で、位置は付随情報にすぎない
- 人口の多い場所に点が多い、という当たり前を再確認しているだけ
データの色
量・偏差・種類を区別し、現行の題材レジストリと編集カードの規定を用途別に使います。区画の種類という型は保持します。G1ではF-04の色系統制約があり、多色カテゴリの採用には条文と検査の改版が必要です。発散色は基準と中心を明記し、凡例を同じ定義から作ります。虹色による恣意的な順序づけは行いません。
没入シーン ── Data Scape From SORAH App 2024
プロダクトの図のうち、1題材で画面全体を使うものを「シーン」と呼ぶ。原案(2024 Data Scape仕様)は4作品を2つの型に整理していた。この2つは構成の参照例です。現在はScene・Story・Crosspointから目的に合う構成を選びます。
| 地図/データ+チャート型 | 地球+ボタン型 | |
|---|---|---|
| 題材 | 時系列で形が変わるもの(Arctic Ice、Climate Stripes) | 状態を比べるもの(Forest: Original / 2020、River: Flow / Impacted) |
| 初動 | 操作による再生(年が進む) | 操作による回転(球体) |
| 操作 | チャートをタップで停止 → スライダーで年を選ぶ(年ごとにスナップ) | 球体をタップで停止 → ドラッグで回す。表示はボタンで切替(2択・セグメント) |
| 読み出し | 「年|値」の対+スパークライン(03「読み出しの対」) | 比率+面積など「率|量」の対。切替に連動して更新 |
| 色 | 題材色を全画面に(02「シーン色」)。発散スケールは白が中点 | 現行の題材レジストリと昼夜を参照し、切替でも意味と値域を保つ |
| 共通の骨格 | 固定タイトル+×、右上に「関連記事」「インフォメーション(出典・観測日)」の2ボタン、初回のみ操作チュートリアル(2秒で消える)。SP/タブレット/PCで縦横比に応じて縦積み⇄横並び(04「没入画面」) | |
シーンは「操作している画面の中」にあるのでプロダクトの図だが、切り取っても意味が残るように作る(発信のグラフィックの条件を兼ねる)── だから出典と観測日はインフォメーションに必ず入れ、読み出しは常時表示にする。
数字の組み方
- 数値は必ずタブラー数字。桁が縦に揃わない図は作らない
- 4桁以上は3桁区切り。単位は数字より小さく添え、数字との間を空けない(1,234 kcal ではなく 1,234kcal)
- 有効桁は意味のある桁で止める。観測精度を超える桁を書かない
- 大きすぎる数はそのまま出さず、身体か生活で測れる単位に翻訳する
- 比率と実数の両方を持たせる。読者に暗算をさせない
- 作画が紙面を支配する。図が主で、余白は従
- 軸・罫・格子は最小限。消して読めるなら消す
- 色を落として(グレースケールで)読めるか毎回確認する
- 出典・観測日・系列の位置を必ず添える
- 影・グラデーション・3D・立体棒・装飾アイコン
- 二重軸、切断軸、面積で量を表す円
- 凡例を読ませる、単位を換算させる、順路を探させる
- 図を余白に浮かせる(作画が小さいのは、決められていないことの現れ)