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見えないメタン、検出から削減へ。

公開日 04/October/2026 · Climate

見えないメタン、 検出から削減へ。

SORAH Editorial 著

衛星が見つけるメタンの排出は、地上のどこで何が起きたのかを調べる手がかりになる。2024〜2026年の検出記録から、観測と対策の間を見る。

衛星が見つけるメタンの排出は、地上のどこで何が起きたのかを調べる手がかりになる。2024〜2026年の検出記録から、観測と対策の間を見る。

5,094件の検出記録を27か月に区分(2024年7月26日〜2026年9月25日)。点面積=検出時の推定排出速度(t/h)。シアンと光の重なりは表示上の表現で、濃度・プルーム範囲ではない。未検出は排出ゼロを意味しない。

Data Scapeで見る

地上の設備と、空に出たガス

陸地の上に光点が現れ、月を変えると、その分布も変わる。石油・ガス、炭鉱、廃棄物処分場などからの大きなメタン排出を、衛星の観測から検出した記録だ。点は検出ごとに置かれているため、同じ場所で繰り返し観測されたものもある。点の数が、そのまま施設の数になるわけではない。[1] メタンは無色で、人の目にはこのような光として見えない。それでも、大気中では温室効果を持つ。二酸化炭素より大気にとどまる期間が短いことから、排出を減らす対策は、近い将来の温暖化を抑える上で重要になる。[3]

テキサス州の乾いた地面に立つ油井のポンプジャック

米国テキサス州アンドリューズ東方の油井ポンプ。2009年11月6日撮影。石油生産設備の例として掲載しており、この設備のメタン排出や今回の検出地点との一致を示す写真ではない。

Zorin09 / Wikimedia Commons · CC BY 3.0 · 原画像を改変せず掲載

衛星は、何を手がかりにするのか

使っているのは、コペルニクス大気監視サービス(CAMS)のMethane Hotspot Explorer。欧州のSentinel-5P衛星に載る観測装置TROPOMIから、周囲よりメタンが多い領域を検出し、専門家が確認した記録を提供している。風の情報などから発生源の位置と排出速度を推定するため、点の場所にも値にも不確かさがある。[1] 広く薄く出る排出や、雲に遮られた場所は、この地図に同じようには現れない。見つかった点は調査の入口になるが、地図上の座標だけで特定の設備を断定することはできない。[1]

国境を越えて、排出を減らす

世界の対策をつなぐ枠組みの一つが、2021年の国連気候会議COP26で始まった「グローバル・メタン・プレッジ」だ。人の活動に由来する世界のメタン排出を、2030年までに2020年比で少なくとも30%減らすという共通目標を掲げる。参加国が自主的な対策を積み重ねる枠組みで、各国一律の30%削減義務を定めたものではない。[5] 企業の現場では、UNEPの「石油・ガス・メタン・パートナーシップ2.0(OGMP 2.0)」が、実測に基づく排出量の把握と毎年の報告を進めている。どの設備から、どれだけ出ているかを確かめることが、修理や改善の優先順位を決める土台になる。[6] 対策は排出源によって異なる。石油・ガス設備では漏れの検出と修理、農業では水田の水管理、廃棄物では有機ごみの分別と処理などがある。[8] 埋立処分場では、ごみの分解で生じるメタンを含むガスを配管で集め、処理してエネルギーとして利用する方法もある。[7] 2025年のUNEPなどの報告は、世界のメタン排出がなお増加しており、目標達成には既存の対策を大きく広げる必要があると指摘する。目標を共有し、排出を測り、現場で減らした結果を確かめる。その一連の取り組みの中に、衛星による監視も位置づけられる。[8]

草に覆われたナントメル埋立処分場跡のガス抜き管

英国ウェールズのナントメル埋立処分場跡に設置されたガス抜き管。2008年4月22日撮影。埋め立てた有機物は分解の過程でメタンを含むガスを生む。写真は設備の例で、排出量や回収効率、今回の検出地点との一致を示すものではない。

PhilMacD / Wikimedia Commons · CC BY-SA 3.0 · 原画像を改変せず掲載

見つけた先で、止める

国連環境計画(UNEP)のメタン警報・対応システム、MARSは、大きな排出を衛星で見つけ、政府や企業へ知らせる仕組みだ。2026年4月に公開された事例では、カザフスタンのカラムカスで、2025年9月に削減対応が確認されたと報告している。観測情報が、地上での対応へつながった例だ。[2] この事例はUNEPによる別の記録で、今回の地図の特定の点と照合したものではない。衛星が見つけることと、現場で原因を確かめて対策を取ることは、つながっていても別の段階にある。地図に現れたあとに何が起きたかまで追うことで、観測の意味は変わる。

Data / Sources

月別件数の読み方:検出数は実際の排出だけでなく、雲や観測条件にも左右される。2026年6月と9月には検出手法が更新されたため、月ごとの件数の差をそのまま排出の増減として読むことはできない。この地図は世界の総排出量を示すものではない。[1] 2024年7月は26日以降、2026年9月は25日までの部分収録。位置は発生源の推定座標。点面積は全月共通の排出速度尺度を使用し、検出時の速度を合計しても月間排出量にはならない。シアン#71D9D4は識別色。透過による明るさと周囲の光は測定量ではない。月の間で点を移動補間しない。

CAMS CSV / 5,094 rows / 27 monthly groups / area = source rate × 0.65 pt² at 100 dpi / core alpha 0.24, outline 0.42, halo 0.035/0.022/0.014.

[1] CAMS / ECMWF · Methane Hotspot Explorer documentation(2026-09-15更新): https://confluence.ecmwf.int/spaces/CKB/pages/505389789/Methane+Hotspot+Explorer+documentation [2] UNEP · MARS confirmed mitigation, Kazakhstan KAZ_S_127(2026-04): https://wedocs.unep.org/items/009fed09-3ba3-4541-b6ac-81cf2560f2b5 [3] UNEP · Facts about methane: https://www.unep.org/ar/node/30810 [4] UNEP · Global Methane Assessment: https://www.unep.org/resources/report/global-methane-assessment-benefits-and-costs-mitigating-methane-emissions [5] UNEP · Global Methane Pledge: https://www.unep.org/topics/energy/methane [6] UNEP · Oil and Gas Methane Partnership 2.0: https://methanedata.unep.org/oil-gas-methane-partnership [7] US EPA · Landfill gas and collection: https://www.epa.gov/lmop/basic-information-about-landfill-gas [8] UNEP · Global Methane Status Report 2025(2025-11-17): https://www.unep.org/news-and-stories/press-release/ministers-urge-decisive-methane-action-global-report-shows-progress

執筆者

SORAH Editorial

2026年10月4日

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