
潮の森を全球で見渡す。マングローブと気温を同じ年で重ね、1985〜2025年の40年間をたどる。
潮の森を全球で見渡す。マングローブと気温を同じ年で重ね、1985〜2025年の40年間をたどる。
陸地と海の境目に、緑の細かな面が続いている。海岸をたどり、湾や島の縁に集まる森。地球全体の分布に目を向けると、マングローブが育つ場所は、暖かい海岸に沿って広がっている。
マングローブは、潮の満ち引きを受ける海岸に生きる樹木や低木の総称だ。NOAAによると、マングローブの樹木は約80種ある。分布は主に熱帯・亜熱帯にあり、凍るような寒さは生育を制約する。根は土砂をとどめ、魚などの生き物に隠れ場所をつくる。海岸の細い帯には、陸と海の両方に関わる森がある。[5]
![1985年のマングローブ分布と、同じ年の平均気温。緑のセルは、その年にマングローブと分類された場所を集約している。[1][4]](/images/articles/mangroves/01-global-ja.jpg)
1985年のマングローブ分布と、同じ年の平均気温。緑のセルは、その年にマングローブと分類された場所を集約している。[1][4]
暖かい海岸に、森が集まる
地図の青は寒い地域を、黄からオレンジ、赤は暖かい地域を示す。そこに森の緑を重ねると、気温の大きな広がりの中に、海岸の居場所が見えてくる。海と陸の境界に生きる森は、気候にも、潮にも関わっている。アジアの島々、アフリカの沿岸、アメリカ大陸。世界地図で見比べると、緑が集まる海岸と、ほとんど見られない海岸がある。温暖な地域の中でも、森は海岸を均一に覆うわけではない。湾や河口、島々の形に沿って、それぞれの広がりをつくっている。
![1985年の全球図。背景は地上2mの年平均気温。すべての年で−20〜35°Cの同じ色尺度を使う。[1][4]](/images/articles/mangroves/02-world-ja.jpg)
1985年の全球図。背景は地上2mの年平均気温。すべての年で−20〜35°Cの同じ色尺度を使う。[1][4]
40年を、ひとつの時間軸に
映像では1985年から2025年へ、年を進める。マングローブの分布と気温は、常に同じ年の記録だ。視点を固定しているので、緑の形と、その背後の温度の変化を同じ場所で見続けられる。海岸の緑には、長く残る部分もあれば、年ごとに輪郭や濃さが変わる部分もある。ひとつの森を眺める時間よりも長い40年を、地球の上でたどる。小さな差を追っているうちに、海岸の姿が固定されたものではないことに気づく。
![2025年。1985年の全球図と同じ範囲、同じ尺度。緑は2025年の分類、背景は2025年の年平均気温。[1][4]](/images/articles/mangroves/04-2025-ja.jpg)
2025年。1985年の全球図と同じ範囲、同じ尺度。緑は2025年の分類、背景は2025年の年平均気温。[1][4]
潮の森を、時間の中で見る
気温と森を重ねることで、「分布が変わった年、この海岸の気温はどうだったのか」と尋ねられる。二つの記録を同じ時間軸に置くことは、環境と生き物の関係を考える入口になる。海岸線は地図では細い線に見える。その周囲にある森は、生き物を育み、土砂をとどめる場所でもある。40年の変化を見たあとでもう一度緑の帯を追うと、陸と海を分ける境界が、生命の集まる場所として見えてくる。
※ データと映像の読み方 Global Mangrove Watch v4.1.12の全1,696タイル、1985〜2025年の41時点を20秒で表示。提供元の約480m縮小格子を4×4セルごとに集約し、各年に分類された割合を保持する。表示セルは隣接する四角形とし、分類割合が大きいほど明るく表示。点の間隔を空ける間引きや、未分類場所の穴埋めはしない。表示セルの数や大きさは樹木数・実面積を表さない。初期年代には他年の分類から補完された部分があり、分類の変化をそのまま生育や消失、回復、炭素量の変化とみなすことはできない。原格子は約30m。GMW: CC BY 4.0。[1][2]
※ 気温について NOAA PSL / NCEP–NCAR Reanalysis 1の地上2m気温。月平均を各月の日数で重み付けした年平均を用いる。約1.9°格子の広域的な再解析値で、海面水温や森の現地気温ではない。表示の空間補間を行い、年の間の値は補間しない。色尺度は−20〜35°Cで固定し、両端で飽和。重ね合わせだけで気温と植生変化の因果関係を示すものではない。[4]
出典
執筆者
SORAH Editorial
2026年10月1日



