
白い雪を戴いた富士山を見るなら、何月がよいだろう。北を上にした等高線に季節の雪を重ね、初冠雪を待った132年を記事でたどる。
白い雪を戴いた富士山を見るなら、何月がよいだろう。北を上にした等高線に季節の雪を重ね、初冠雪を待った132年を記事でたどる。
富士山と聞いて思い浮かべるのは、青い空の下、白い雪をかぶった山かもしれない。その姿は一年中そこにあるわけではない。雪が降り、残り、消える季節があり、雪のある日でも雲に隠れる朝がある。白い富士山に会うには、「白くなる時期」と「山が見える時期」の二つを見る必要がある。
線だけの山に、季節の白を重ねる
山の形は、国土地理院の標高データから75m間隔の等高線で描き、北を上にした完全俯瞰で固定した。その上に、2023〜2025年の衛星画像から求めた月別の雪判定割合を重ねている。1月の白は、春に向かって斜面を覆い、夏にはほとんど消える。この3年間の選定画像では、標高2,000m以上の有効観測画素に占める雪分類は3月に最も多かった。[4][6]
北を上にした4月の雪判定割合。2023〜2025年の衛星画像を集計し、国土地理院DEMの75m間隔の等高線へ重ねた。積雪深ではない。 富士吉田・御殿場・富士宮の市街地は画角外にあるため、市庁舎座標に基づく方角を矢印で示しています。街の位置そのものを図中に置いたものではありません。[11][12][13]
雪の多さを、真冬の寒さだけでは説明できない。富士砂防事務所は、春に本州南岸を通る低気圧が富士山へ雪をもたらすことを説明している。暖かくなり始める街から見上げた山に、まだ広い白が残るのには、山の季節がある。[9]
白い富士山を狙うなら、1〜2月の朝を候補に
富士市では、毎日決まった時刻に山が見えるかを記録している。1991〜2025年の原表を月別に集計すると、午前8時に「全体が見えた」割合は12月61.7%、1月60.0%、2月52.6%。3月は40.7%で、夏の7月は9.9%だった。見えやすさには、はっきりした季節差がある。[8]
富士市庁舎から午前8時に全体が見えた日数を、各月の総観測日数で割った割合。1991〜2025年の35年間。雪の有無とは別の指標です。[8]
この眺望記録と今回の雪の分布を合わせて考えると、白い山と澄んだ眺めの両方を狙う時期として、まず1〜2月の朝を提案したい。見えやすさだけなら12月も強い候補になる。斜面に広く雪をまとった姿を優先するなら3月にも魅力があるが、山全体が見える朝の割合は冬より低い。これは富士市側の観測と限られた衛星標本からの提案で、どの方角・どの年にも当てはまる保証ではない。
白い姿が戻る日は、固定されていない
甲府から富士山の初冠雪を記録した1894〜2025年の132件を並べると、白い山が戻る日は大きく揺れる。最初の30年(1894〜1923年)と最近の30年(1996〜2025年)を比べると、平均の初冠雪日は11.7日遅い。2024年は11月7日、2025年は10月23日だった。[1]
白点は各年の観測日、オレンジ線は132年全体の最小二乗回帰。線形傾向は10年あたり1.04日遅い。日付は8月1日からの日数に換算。最初と最近の30年平均差11.7日とは別の計算で、各年が一様に遅くなったことを意味しません。[1]
ただし、初冠雪は、甲府から山が初めて白く見えた日の記録だ。冬のあいだにどれほど雪が積もるか、春にどれだけ残るかとは異なる。「白い富士山が戻る日」の変化と、「山を覆う白の広さ」は、別々の観測を重ねて初めて見えてくる。2026年からの観測方法の変更も、過去の系列と区別して読む必要がある。[1][2]
見慣れた風景を、変わらない背景として眺めるのではなく、その年の雪と空がつくる姿として見る。月を進めて線の山に白が重なる様子を追うと、次に富士山を見る日を、少し具体的に思い描ける。
※ データの範囲 雪は各年・各月のシーン雲量が少ない3画像、計108枚から集計した2023〜2025年の標本です。SCL=11を雪・氷、2/4/5/6/11を有効観測として扱い、3観測未満は表示しません。晴天寄りの抽出で、30年平均や毎日の積雪確率ではありません。眺望は1991〜2025年の富士市庁舎から午前8時の記録。二つの割合は同時に成立する確率ではなく、積算・乗算していません。初冠雪は積雪量や気温の直接指標ではありません。[1][4][8]
Data Scape
富士山の雪の季節出典
- 甲府地方気象台・初冠雪観測記録(2026.09.15)
- 甲府地方気象台・平年日と観測方法変更
- 気象庁・利用条件(PDL 1.0)
- Copernicus Sentinel-2 L2A・シーン分類(雪・氷=11)
- Earth Search・Sentinel-2 L2A(108シーンのIDをデータ確認票に収録)
- 国土地理院・標高タイルの詳細仕様
- Sentinel-2 Cloud-Optimized GeoTIFFs・提供と利用条件
- 富士市・富士山観測の記録(1991〜2025年、各年月別の原表)
- 国土交通省・富士砂防事務所「富士山の雪」
- UNESCO · Fujisan: internationally recognized icon of Japan
- 富士吉田市 · 土地・気象(市庁舎の位置)
- 御殿場市 · 市勢要覧(市役所の所在地)
- 富士宮市 · 気象観測(市庁舎の緯度・経度)
執筆者
SORAH Editorial
2026年10月2日



