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海の騒音、ボストン沖で重なる船と音の一日。

公開日 09/October/2026 · Nature

海の騒音、 ボストン沖で重なる船と音の一日。

SORAH Editorial 著

海面を進む船と、海中のマイクが記録した音。2020年11月23日のボストン沖を、一つの時計で読む。

海面を見ているだけでは、その下を満たす音は見えない。港へ近づく船、沖へ向かう船。その航跡が地図に線を残す一方で、水中のマイクには、その場所に届いた音が重なって記録される。ボストン沖の一日を二つの記録で眺めると、海は移動のための空間であると同時に、音を受け渡す空間として立ち上がる。

一本の時計に、海面と海中をそろえる

2020年11月23日。ここに載せた船の記録は89識別子、37,169点ある。時刻を進めると、その時間に受信された位置が線でつながり、古い航跡は薄れていく。港の周辺を小さく動く線もあれば、沖に長く伸びる線もある。一つの海域を「船が多い場所」とまとめる前に、往来する時間と経路を分けて見ることができる。

同じ日のAIS航跡と、SB02_13の30帯域・24時間の音圧。円はその時間の帯域最大値を表す。

同じ日のAIS航跡と、SB02_13の30帯域・24時間の音圧。円はその時間の帯域最大値を表す。

Data Scapeでデータを探索する

下の帯は、水中マイクSB02_13の記録だ。横方向に一日、縦方向に低い音から高い音を並べている。どの時間に、どの高さの音が強まったのか。海面の線をたどった視線をこの帯へ移すと、移動の地図に、もう一つの時間の層が重なる。

琥珀色の円は、聴く場所を示す

マイクの周りの琥珀色は、音が強い時間ほど大きく濃くなる。この日の帯域最大値は01時に101.6dB、18時に89.6dBだった。地図を埋める円は、この一地点で受け取った音の大小を読むための印だ。どの音域が変わったのかは、下の帯に戻って確かめられる。

船の線と音の色を同じ時計に載せることで、確かめたい問いも具体的になる。強い音の時間には、どの航路で動きがあったのか。近くに線がなくても音が変わるのはなぜか。視覚化は、音の正体を一目で決める装置というより、次に調べる時刻や周波数を見つける入口になる。

海中の音を調べるグライダーと調査者

海中の音を調べるグライダー。撮影日非公表。Anne Smrcina / NOAA。 出典 / Source

海の生き物にも、音の空間がある

ステルワーゲン・バンクでは、固定した水中マイクや移動するグライダーを使い、船、生き物、環境の音が調べられてきた。NOAAの研究は、船が出す音を生き物の声が届く環境の問題としても扱っている。海面上ではすれ違うだけに見える船が、海中では聴くための条件を変える可能性がある。[3]

私たちの地図では、海は港や航路をつなぐ余白になりやすい。しかし、生き物にとっては暮らしの中で声や音を使う場所でもある。船の運航と生き物の生活を考えるには、位置が重なるかという問いに、どんな音が、いつ届くかという問いを加える必要がある。

航路を動かす、音を減らす

ボストンでは2007年、クジラが比較的少ない場所へ航路を移す取り組みが実施された。これは衝突の危険を減らすための変更だった。航路が自然に決まった一本の線ではなく、観測と判断によって調整できるものであることを示している。[4]

音についても、国際海事機関IMOは2023年に水中放射騒音を抑える指針を改訂し、2024年に行動計画を採択した。プロペラや船体、運航の工夫を考えるとき、音を測り、変化を確かめる記録が土台になる。[5]

地図の上で薄れていく線の一本一本は、海を利用する人の活動だ。その下で変わる音の帯は、目で見える航跡だけでは捉えきれない海の状態を伝えている。同じ一日を二つの記録で読むことから、通るための海を、聴いて暮らすための海としても見直したい。

データと読み方

対象は2020年11月23日UTCのボストン沖のみ。船の位置はNOAA AIS、89識別子・37,169点。選択した1時間内の受信点間だけを結び、10分を超える195か所の欠落は接続しません。フェードは記録の古さを表します。非搭載船・未受信船を含む全交通量ではありません。

音響はNOAA / U.S. Navy SanctSound SB02_13(水中マイク:42.471128°N、70.241957°W)。25〜20,000Hzの30帯域、各帯域の1時間中央値。単位はdB re 1 µPa。PSDや広帯域の合成音圧ではなく、原映像は無音です。配信用映像には制作した音楽・質感音を加えており、現地の録音音声ではありません。

色は75〜105 dBの共通尺度。円の面積と濃さは各時刻の30帯域中の最大値を、その日の最小〜最大に相対化。円の大きさは音の到達距離ではありません。単一のマイクの集計から船・クジラ・自然音を分離せず、AISとの同時変化を原因や生物影響の証拠とはしません。

黒は海の背景。陸地はMassGISの沿岸形状をNatural Earthで補完、等高線はUSGS 3DEP。背景の色は音圧を表しません。写真は別の調査場面で、図の日の観測ではありません。

Sources

執筆者

SORAH Editorial

2026年10月9日

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