
世界の海底で、目標とする基準まで地図化されたのは28.7%。2026年4月20日の公表値から、海の底を測ってきた道のりと、これから確かめる広がりを見る。
世界の海底で、目標とする基準まで地図化されたのは28.7%。2026年4月20日の公表値から、海の底を測ってきた道のりと、これから確かめる広がりを見る。
世界地図では、海の底まで描かれている。それでも、日本財団とGEBCOによるSeabed 2030が2026年4月20日に公表した地図化の達成率は28.7%だった。前年から約500万平方キロメートルが加わったが、目標基準に届いていない範囲は、なお海底全体の7割を超える。 Seabed 2030 · Global mapping milestone, 20 April 2026

Seabed 2030の公表値。71.3%は100%からの差分で、海底の情報がまったくない割合ではありません。 Seabed 2030 · Global mapping milestone, 20 April 2026
その隔たりは、地図に空白があるかどうかでは見えにくい。GEBCOの全球地形図は、船などが測った水深に、衛星の重力情報を使った推定や補間を組み合わせている。海底の大まかな起伏が描けていても、細部まで同じ密度で測れているわけではない。 GEBCO_2026 Grid / Type Identifier

GEBCO_2026の情報源分類から、直接測量の方法に分類された場所を表示。太平洋側の視点です。公表された28.7%とは定義が異なります。
どのような場所が、測られてきたのか
まず、船が安全に通る必要のある海だ。港への出入りや沿岸の航路では、浅瀬や障害物の位置が航海に直結する。米国NOAAは測量の優先順位を決める際、船舶の密度、既知の危険箇所、座礁の記録などを考慮する。海底は一度測れば終わりでもない。嵐や流れで変わりやすい場所ほど、再測量の必要性も高くなる。 NOAA Office of Coast Survey · National Hydrographic Survey Priorities調査は、暮らしに近い海だけに限られない。米国南東部沖のブレイク海台では、NOAAが2011年から進めてきた測量によって、平らだと考えられていた場所にも、深海サンゴがつくる起伏が見つかった。深い海を測ることは、地形と、その上にある生態系の両方を知る入口になる。 NOAA Ocean Exploration · Seafloor Mapping
今回の地球上では、外洋を横切る細い筋と、まとまった面として明るい場所が見える。船の直下を測る単一ビームと、幅を持って測るマルチビームでは、残る測線の形も違う。その形を読み比べると、広い海が一様に測られてきたわけではないことがわかる。ただし、この分類図だけで個々の筋の航海名や調査目的までは特定できない。 NOAA Ocean Exploration · Sonar

大西洋側へ視点を移した比較。線や面は、直接測量に分類されたデータの分布です。暗い場所にも推定・混合データが含まれます。
重りを下ろす一点から、音で測る面へ
かつての測深は、目盛りの付いた縄に重りを付け、海底に届くまで手で下ろす作業だった。得られるのは一地点の深さで、点と点の間には情報が残らない。NOAAの前身にあたる米国沿岸測量機関は1834年に水路測量を始め、1930年代には船底からの反響で深さを測る単一ビームの音響測深が使われるようになった。1950〜70年代に発達した技術のうち、マルチビームは船の下を帯状に測り、海底を面として捉える道を開いた。 NOAA Office of Coast Survey · History of Hydrographic Surveying
手測りの測深に使うリードライン。NOAAの測量史資料に掲載された写真。撮影年・場所は掲載ページに記載されていません。 — NOAA / Office of Coast Survey · Public domain · 原画像・無加工
現在の調査船では、音の往復から得た記録を、船上の画面で確かめながら海底図にしていく。幅広く測れるようになっても、遠い海へ船を送り、測線を重ねていくには時間と費用がかかる。世界の底を埋めていく仕事は、今も一航海ずつ続いている。 NOAA Ocean Exploration · Seafloor Mapping NOAA Ocean Exploration · Sonar

米領バージン諸島の調査航海(2015年)。調査船ナンシー・フォスターで、音響測量担当のウィル・ソーターがマルチビームソナーの後方散乱データを解析する。 — NOAA / National Ocean Service · NOAA 利用条件
28.7%の先にある、地球のフロンティア
地図化の進展には、新しく測ることに加え、すでに測られていたデータを共有することも含まれる。2026年版への追加面積は、そのすべてを前年に測量したという意味ではない。 Seabed 2030 · Global mapping milestone, 20 April 202628.7%という数字は、海の底の輪郭を、これからどれほど確かめられるかを問いかける。船が通る場所の安全も、深海に生きるものの姿も、測ることで見え方が変わる。フロンティアは、地図の外側だけにあるのではない。私たちがすでに名前を知る海の、その底にも続いている。
データと表現
公表測量率28.7%はSeabed 2030の2026年4月20日発表による、目標基準で地図化された割合。71.3%は100−28.7の差分で、情報皆無・未踏の割合ではありません。地球図は別の指標で、GEBCO_2026 Type Identifier(TID)10〜17を直接測量、11をマルチビームとして表示。15秒角の原分類から0.05度で最近傍抽出し、画素の割合から測量率は計算しません。推定・混合・情報源不明は点灯せず、細い測線が落ちる場合があります。映像の回転は視点の変化で、測量の年代順ではありません。GEBCOの版年も測量年とは異なります。航海用ではありません。出典
執筆者
SORAH Editorial
2026年10月5日



