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世界のエネルギー輸送を支えてきた、ホルムズ海峡。

公開日 05/October/2026 · Ocean

世界のエネルギー輸送を支えてきた、 ホルムズ海峡。

SORAH Editorial 著

ホルムズ海峡を中心に地球を開く。2025年の船の航跡と原油の輸送先から、狭い海の通り道が遠い暮らしにつながる姿を見る。

ホルムズ海峡を中心に地球を開く。2025年の船の航跡と原油の輸送先から、狭い海の通り道が遠い暮らしにつながる姿を見る。

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ホルムズ海峡の通航が滞ると、変わるのは周辺地域の輸送だけではない。石油やガスの調達費用が動き、発電所で選ぶ燃料や、工場を動かす条件にも波及する。2026年の供給制約が世界へ広げている影響を考えるために、まず、その通り道が担ってきた役割を2025年の記録からたどる。 IEA · Oil markets and the Middle East supply shortfall, 18 September 2026 IEA · Coal demand outlook, 10 September 2026

2025年の全期間。線は気象報告船の観測航跡、円の面積は別資料の年間原油量。航跡がその原油を運んだ船を示すわけではありません。

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2025年の全期間。線は気象報告船の観測航跡、円の面積は別資料の年間原油量。航跡がその原油を運んだ船を示すわけではありません。

地球の中心を、海峡に置いてみる

映像は海峡を中心とした正距方位図法で描いた。ふだん地図の端に分かれがちな土地が、一つの通り道の周りに並ぶ。図上の距離や形を一律に読むことはできないが、中心から各地へ向かう方向と距離を保つこの視点は、海峡と遠い土地の位置関係を見せてくれる。

水色の線は、米国海洋大気庁の国際総合海洋大気データセット(ICOADS)にある気象報告船の位置からつくった。2025年に海峡を出た34の識別符号、55回の出峡を抽出している。すべての商船を追った地図ではない。観測が途切れるところで線も止まり、その先の到着港や積荷は、この記録だけでは決められない。 NOAA NCEI · ICOADS

通った回数と、運ばれた量

船の往来の規模は、独立したAISの集計で見る。国連グローバル・プラットフォームとIMF PortWatchのデータでは、2025年の対象商船の双方向の通航は延べ31,218回。そのうちタンカーは17,585回だった。同じ船の繰り返しも数える「回数」であり、船の実数ではない。 IMF PortWatch / UN Global Platform

2025年の月別通航回数。棒の上は合計、青はタンカー。双方向・同じ船の繰り返しを含む延べ回数です。

2025年の月別通航回数。棒の上は合計、青はタンカー。双方向・同じ船の繰り返しを含む延べ回数です。 IMF PortWatch / UN Global Platform

桟橋に停泊する原油タンカー、ペリクレス

原油タンカー「ペリクレス」。2020年12月26日、オーストラリア西部クウィナナの製油所桟橋。タンカーの参考写真で、今回の航跡に含まれる船を特定したものではない。 — Calistemon / Wikimedia Commons · CC BY-SA 4.0 · 原画像・無加工

一方、原油の輸送先別データを年間に換算すると、総量は約48.91億バレル。中国は約14.24億、インドは約7.30億、日本は約6.21億バレルとなる。円の面積は、この年間の量に対応させた。線と円を重ねると、個別の観測航跡と、より大きな供給のつながりを同じ地球で眺められる。 Maybank · Gulf War: Assessing the Fallout, 20 March 2026, Fig. 3 Oxford Institute for Energy Studies · Europe’s oil vulnerability, April 2026

日平均の公表値を365倍した年間量。構成比の分母は世界計。その他は内訳未掲載の世界計残差です。EU27は別資料の参考値で、合計にも構成比にも加えていません。

日平均の公表値を365倍した年間量。構成比の分母は世界計。その他は内訳未掲載の世界計残差です。EU27は別資料の参考値で、合計にも構成比にも加えていません。 Maybank · Gulf War: Assessing the Fallout, 20 March 2026, Fig. 3 Oxford Institute for Energy Studies · Europe’s oil vulnerability, April 2026

米国の個別値は、他国の年間原油量に用いたMaybankの2026年3月20日付資料(図3、Kpler/Nikkei Asia出典)には掲載されていない。地図には「同資料に個別値なし」と記した。輸入量がゼロという意味ではなく、米国の統計が一切公表されていないという意味でもない。 Maybank · Gulf War: Assessing the Fallout, 20 March 2026, Fig. 3

年間値を月別タンカー通航比で配分した累積イメージ。原油の日別・月別実績ではありません。

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年間値を月別タンカー通航比で配分した累積イメージ。原油の日別・月別実績ではありません。

海峡の制約が、世界の燃料を変える

国際エネルギー機関(IEA)が2026年9月18日に公表した分析では、8月にホルムズ海峡を通った石油は日量約760万バレル。開戦前を約1,310万バレル下回る暫定値だった。迂回路の利用、湾岸外での増産、備蓄の放出が不足の一部を補っている。それでも供給の回復は十分ではなく、9月には原油・石油製品の価格に再び上昇圧力がかかっていた。 IEA · Oil markets and the Middle East supply shortfall, 18 September 2026

影響は、海峡を通らない燃料にも及ぶ。IEAの9月10日の報告によると、LNG輸送の減少と天然ガス価格の上昇が、余力のある石炭火力への切り替えを促している。欧州、日本、韓国、中国などの石炭利用は従来の想定を上回り、世界の2026年の石炭需要は前年比1.2%増と予測された。これは年間の見通しであり、石炭の使用率を実測した数字ではない。需要にはエルニーニョによる冷房需要や水力発電の変化なども関わる。 IEA · Coal demand outlook, 10 September 2026

2025年の地図に伸びる航跡は、燃料を運ぶ海の道だった。その流れが細ると、遠くの発電所で何を燃やすか、工場で何をつくれるかまで変わりうる。海峡が支えてきたのは、船の通り道と、その先の暮らしを動かすエネルギーだった。

データと表現

対象は2025年。ICOADSの気象報告船位置を使用し、6時間超の間隔、50ノット超の移動、陸地との交差で航跡を分割。位置間は再生時に補間。AIS通航回数は独立系列。原油はKpler / Nikkei Asiaを引用するMaybankの国別日平均×365日。再生中の原油量は月別タンカー通航比で配分する模式値で、月内は一定速度。EU27はOIESの別資料による年間約1.90億バレルの参考値で、総量に加算せず、その他からも差し引きません。記事後半の情勢は2026年9月10日・18日のIEA公表資料に基づき、映像の2025年とは分けています。未掲載内訳を任意の国へ配分しません。

出典

執筆者

SORAH Editorial

2026年10月5日

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