
通信、天気、現在地。地上で使う情報の一部は、地球の外側に広がるインフラから届く。16,604基の衛星の予測位置から、空の使われ方を見る。
欧州宇宙機関(ESA)の2026年7月31日更新の集計では、地球周回軌道へ打ち上げられ、宇宙に残る人工衛星は約18,840基。そのうち約15,900基が稼働している。[5] 通信、天気、現在地。地上で使う情報の一部は、地球の外側に広がるこのインフラから届く。
1光点=1基。16,604基の収録衛星の予測位置、2026年10月4日7〜9時(日本時間)。初期画角では高軌道の一部が画面外。短い線は直前2分の軌跡で、通信・観測範囲ではない。
空にある、地上のインフラ
日本列島の上を光点が通り、太平洋へ抜けていく。別の光点はアフリカの上空から南へ向かう。地球を少し遠くから見ると、陸地を囲む空間にも、人が使う場所が広がっている。 この可視化には、2026年10月3日に取得した軌道データから16,604基を収録した。そのうち通信に分類されたものが13,276基を占める。これは取得した一覧と分類条件による数で、世界の衛星すべてを数えたものではない。それでも、地上の通信を支える仕組みが、いくつもの軌道へ広がっていることがわかる。[1]同じ地球を、違う高さから見る
地球に近い低軌道では、衛星が地表に対して速く移動する。通信を続けるには、複数の衛星が連携するコンステレーションという仕組みが使われる。一方、赤道上空の静止軌道では、地球の自転と同じ周期で回るため、地上からほぼ同じ方向に見える。目的によって、空の使い方が変わる。[3] 気象や地表の変化を調べる衛星には、極の近くを通る軌道も使われる。衛星が南北方向へ進む間に、その下で地球が回り、異なる経度の地域を観測できる。測位衛星は、また別の高さから位置の手がかりを届ける。スマートフォンの地図と天気予報は、同じ空間を使いながら、違う軌道の仕組みに支えられている。[3]帯の模様に残る、軌道の傾き
北極や南極の近くに視点を移すと、光点の並びに帯のような模様が現れる。衛星の軌道は、赤道に対してそれぞれの傾きを持つ。似た傾きの軌道が集まれば、衛星が通る緯度にも偏りが生まれる。 画面の密集には、異なる高度や奥行きの重なりも含まれる。隣り合う光点が、実際に近接しているとは限らない。ここで見える帯は、地表の人口分布や通信の混雑を直接描いたものではなく、軌道の配置を一つの方向から見た姿だ。使い続けられる空へ
欧州宇宙機関(ESA)が2026年9月14日に公表した宇宙環境報告は、衛星群の拡大とともに、活動する衛星がより広い高度へ分布しつつあると伝えている。運用の調整や、役目を終えた衛星の処分が一層重要になる。[4] この図には、宇宙ごみの全体や衝突の危険度は含まれない。多さだけで危険を判定することもできない。ただ、地球の外側にも、用途の違う設備が同じ空間を使っている。光点をたどると、空の管理は、地上で使う通信や情報を将来も届けるための仕事だと見えてくる。 運用を終えた衛星の一例が、米国の地球観測衛星ランドサット5だ。1984年の打ち上げから約29年にわたり地表を記録し、2013年6月5日に最後の指令を受けた。終了にあたっては軌道を下げ、残った燃料を使い切り、送信機を停止する手順が取られた。役目を終えることにも、地上からの仕事がある。[6]
運用を終えた衛星、ランドサット5。写真は打ち上げ前の実機の組立・統合作業で、運用終了後の軌道上写真ではない。1984年に打ち上げられ、2013年6月5日に最後の指令を受けた。
USGS / NASA · U.S. Public Domain · 原画像を改変せず掲載
Data / Sources
CelesTrak Active GPを2026年10月3日22:05:58 UTCに取得。16,636件から、表示開始時に軌道要素の基準時刻が7日以内の16,604件を採用し、古い32件を除外。保存軌道要素をSGP4で計算した予測位置で、現在位置の実況や実測ではない。分類はCelesTrakのグループをNORAD IDで照合し、有人施設→地球観測/気象→測位→科学→通信→その他の順に重複を解消。白基調の6分類は役割の識別色で、数は重要度を示さない。CelesTrak Active GP / python-sgp4 2.27, WGS72 / TEME → GMST → ECF / 6371 km normalization / 121 samples, 60 s step, linear display interpolation. R7映像は収録期間の冒頭20分を60倍速で表示。VIEW DIAMETERは画面横方向の表示範囲(約16,400〜227,400km)で、軌道そのものが拡大する意味ではない。
[1] CelesTrak GP formats: https://celestrak.org/NORAD/documentation/gp-data-formats.php [2] CelesTrak usage policy: https://celestrak.org/usage-policy.php [3] ESA · Types of orbits: https://www.esa.int/Enabling_Support/Space_Transportation/Types_of_orbits [4] ESA · Space Environment Report 2026(2026-09-14): https://www.esa.int/Space_Safety/Space_Debris/ESA_Space_Environment_Report_2026 [5] ESA · Space debris by the numbers(2026-07-31更新): https://sdup.esoc.esa.int/discosweb/statistics/embed/bythenumbers [6] USGS · Landsat 5 decommissioning(2013-06-19): https://www.usgs.gov/landsat-missions/usgs-completes-decommissioning-landsat-5
執筆者
SORAH Editorial
2026年10月4日



