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侵入試行の報告は、どこから。

公開日 09/October/2026 · Technology

侵入試行の報告は、 どこから。

SORAH Editorial 著

半透明の赤〜オレンジのドームと、世界のネットワークを結ぶ線。全体の日次報告数は1年間の時間軸でたどれます。

半球はDShieldの発信元IP国別報告数(2026年10月8日)。オレンジの線はCAIDAのAS接続関係で、攻撃経路ではありません。

Data Scapeでデータを探索する

つながる網と、届く報告

地球の表面から、赤い半球が浮かび上がる。その間をオレンジの線が結ぶ。映像は、インターネットを支える接続関係と、侵入試行として寄せられた報告を同じ地球に置いている。半球が示すのは2026年10月8日更新の発信元IPの国別報告数。時間軸がたどるのは、2025年10月9日から2026年10月8日までの全体の日次報告数だ。

離れた国同士が画面上では一本の線で結ばれる。しかし、通信を届ける仕組みと、不審な通信の発生は別々の情報である。そこを分けて見ると、目立つ国をすぐに「攻撃した国」と決める地図から、誰が何を観測しているかを読む地図へ変わる。

一つの記録を、離れた場所と比べる

SANS Internet Storm Centerの歩みは、2001年のLi0nワームへの対応にさかのぼる。異なる場所の記録を集めることで、一台の機器では見えにくい活動の変化を捉えようとしてきた。今回使うDShieldも、参加者から寄せられるログが観測の土台になる。[1]

記録が増えたとき、そこに新しい攻撃の波があるのか、それとも観測への参加や報告の仕方が変わったのか。数値だけでは答えは決まらない。ISCは研究目的のスキャンも公開している。ネットワークへ届く通信を調べるには、量だけでなく、その通信の性質と文脈を合わせて読む必要がある。[2]

国境を越える仕組み

私たちが一つのサービスにアクセスするとき、通信は複数の運営主体のネットワークを渡ることがある。ネットワーク間で経路情報を交換する仕組みの一つがBGPだ。CAIDAは、このような経路情報を使ってAS(自律システム)間の関係を推定し、研究用に公開している。[3][4]

配線ラックの前で接続を確認する技術者。

米国イリノイ州スコット空軍基地でネットワーク設備を扱うWilliam Cronin。2018年4月25日。ネットワーク保守の関連写真で、DShieldの観測設備を写したものではありません。 Maj. Jon Quinlan / U.S. Air Force / DVIDS · Public Domain; no endorsement The appearance of U.S. Department of War (DoW) visual information does not imply or constitute DoW endorsement. Source

オレンジの線は、その隣接関係を運営組織の登録国にまとめたもの。線の両端は国の代表点で、実際のケーブルの位置ではない。地球上を横切る大きな弧は、通信を運ぶ仕組みが一国の中だけでは完結しないことを読むための模式表現だ。[3][5]

365日の起伏を読む

国別の半球を重ねると、同じ接続網の上でも報告の集まり方が一様ではないことがわかる。今回のスナップショットでは、日本に対応する報告は138,413件。ただしこれは発信元IPの推定国による分類で、日本への被害件数でも、実行者が日本にいることの証拠でもない。サーバーの置かれた場所と、それを使う人の場所を同じものとして読まないことが大切だ。[6]

下部の折れ線は365日分の全体の記録を示す。2026年10月8日の値は21,805,399件。国別スナップショットの合計21,284,011件とは、取得窓と集計が異なるため一致しない。毎日の高低は観測網に届いた報告の起伏であって、侵入成功数の推移ではない。半球の大きさを固定することで、確認できていない国別の年変化を描かず、全体の時間変化と地理的な分布を並べている。[6]

守る現場へ戻る

ネットワークを守る作業は、ケーブルを確かめ、機器を保ち、ログの異変を検討する現場にある。地球上の大きな形は、その作業の結果が集まったものだ。明日同じ地図を見るときも、最も大きな半球だけでなく、観測した期間と、何を一件と数えたかに目を向けたい。

データと表現

DShield公開フィードの国別スナップショットは2026年10月8日04:04:14 UTC更新。2,353,104行、21,284,011報告、173,887発信元IP。DB-IPで国を推定し、個々のIPを公開・再配布しません。未フィルタリングの報告には誤検知や研究目的のスキャンを含む可能性があります。

半球の底面積は報告数に比例。発信元IPの推定国を示し、攻撃先・実行者の所在地・侵入成功数は表しません。国別時系列は未取得なので、半球は固定したまま全体の365日分(2025年10月9日〜2026年10月8日)の推移を表示します。日次集計と国別集計は取得窓が異なり、合計は一致しません。

CAIDAのBGP推定AS接続を運営組織の登録国で集約。オレンジの線幅は接続数で、通信量・ケーブルの位置・攻撃の発信元と被害先のペアを意味しません。DShield報告と個別に対応付けたデータではありません。

DShield / SANS ISC、CAIDA、DB-IP、Natural Earthの出典を併記。CloudflareとShadowserverの比較資料は過去のP1記録に保管し、この完成映像の数値には合算していません。

出典

  1. SANS ISC · About the Internet Storm Center
  2. SANS ISC · Research scanning
  3. CAIDA · AS Relationships
  4. IETF · BGP-4 (RFC 4271)
  5. CAIDA · AS Organizations
  6. SANS ISC · API definitions and use
  7. DShield / SANS · Feed terms
  8. DB-IP · Country Lite / CC BY 4.0

執筆者

SORAH Editorial

2026年10月9日

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